「エホバの証人の子どもたち – 信仰の子らが語る、本当の姿」秋本 弘毅
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エホバの証人の両親を持つ著者が、多くのエホバの証人の子どもたちへのインタビューをもとに書かれた本です。
ハロウィンやクリスマス会、お誕生日会などに参加してはいけないという教え、けれどもみんなと違うことへの恥ずかしさや、楽しいはずの場所での孤立、他の子どもたちへの羨望といったジレンマ…。
エホバの証人の子どもたちが吐き出したくても、吐き出すことのできなかった、内面の率直な想いが綴られています。
「子ども時代に味わう多く苦痛、命の危険を及ぼす教理、その後の人生に徹底的な影響力を与える将来像などを考えると、年端の行かない子どもたちにこれらを半ば強要するのは、あまりにも安易と言わざるを得ません。それが信者と親たちの自己満足に資するとしても。」(本書より)
教育の現場、医療の現場、裁判所などでエホバの証人の子どもたちと向き合う機会のある方々にもぜひご覧いただきたい本です。
以下のリンク先のアマゾンのレビューページにも長文ですが「S」のペンネームで投稿させて頂きました。
以下で、アマゾンのレビューで私が投稿した内容を本ホームページでも紹介させて頂きます。
私もエホバの証人の母親によって育てられました。(父親は「迫害者」で、母親と子供たちを「迫害」していました)
この本に書かれていることは事実です。
私は生まれたばかりの頃から集会や伝道活動に参加させられおり、自分の考えを持つことやこの宗教について疑問を持つことはタブーのようなものとなっていました。
母親とこの宗教の言うことが絶対正しいと信じ(信じ込まされ)、毎日宗教活動をさせられ、従わない場合には厳しい体罰を受けていました。
少しでも宗教活動を行うために、部活動は一番活動時間の短いものにさせられ、誕生日やクリスマス、墓参り、格闘技など様々なことを禁止されていましたが、母親に捨てられないよう、教義に忠実に従っていました。
ただ、そうすると今度は父親から「迫害」を受けるという悪夢が待っていました。
また、エホバの証人たちの集まる集会や大会は1時間から8時間ほどに及ぶのですが、その間、幼い子どもたちも親の隣でおとなしく席に座っていることが強要され、退屈してむずかるとトイレに連れて行かれ、容赦ない体罰を受けていました。
私の記憶で一番長い体罰は、当時まだ1、2歳ほどの子どもが集会中にぐずったという理由で、1時間にわたり体罰を受けていたことです。
最初は激しく泣き叫んでいたその子も、最後には声も枯れてぐったりとしていました。
周りの大人達はその間も平然としていて、誰も止めようとはしませんでした。
「懲らしめによって、正しい道に導いている」ということらしいのです。
私はまだ子どもだったため、どんな罰が待ち受けているかを考えると恐ろしくて何も言えませんでした。
ただ、現在は集会場ではほとんど体罰は行なわず、帰宅してから家で体罰を与えているようです。(これは「昼寝するぶた」のサイトからの情報です)
信者たちの言動にしばしば疑問を感じていたため、自立できる年齢になってから、罪悪感を感じつつもこの宗教から徐々に離れていくことができました。
長かった夜が明け、「ハルマゲドン」と「迫害」の恐怖からも解放された今は、とても心穏やかな毎日を送っていますが、それでもしばらくは時々夢の中に出てきて言葉にできない苦しみを味わうことが続きました。(今は完全に解放され夢に見ることもなくなりました)
この本は、私のようにエホバの証人の子として育てられた筆者が、様々な実話を紹介しながら、冷静に事実を述べています。
辛い感情を抑えながら書いてくださったのだろうと感じます。
どの宗教を選ぶかは個人の自由ですが、親に絶対服従しなければいけない、選択肢を持たない子供たちのことも考えてあげてほしいと思います。
また、私のような苦しみを味わっても、それでも必死に生きている人たちがいるということを再認識させられ、励まされました。
どんな過去があっても、これからは前を向いて歩んでいこうと思います。
悪夢が繰り返されないことを願って、この本をより多くの人々に読んでいただけたらと思います。
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