川島真彩の幸せの部屋

「幸せは全て自分の心から生まれる」 ~元JW(エホバの証人)2世からのメッセージ

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【記録】エホバの証人(JW)2世問題を考える会 第二回

この記事は約10分42秒で読めます

2020年10月10日に、エホバの証人(JW)2世問題を考える会 第二回が開催されました。
主催者の「あとむ」さんから会の記録をいただき、当サイトへの掲載をご依頼いただきましたので一部見出し等の編集を加えてご紹介致します。


■日時:
2020年10月10日(土)午後2時00分~4時30分
■開催方法:
オンライン(ZOOMアプリケーション)
■企画者:
あとむ(JW2世、30代男性)
■参加者:計15名
・弁護士:山口広氏(東京共同法律事務所)・河潤美氏(東京共同法律事務所)
・齋藤篤牧師(日本キリスト教団深沢教会)
・JW2世・元信者(原則仮名):
ケイコさん(2世、40代女性)・Hさん(2世、30代女性)・ぴーちゃんさん(元信者、50代女性)・大道寺さん(2世、40代男性)・としきさん(2世、40代男性)・はじめまことさん(2世、30代男性)・齋藤朗子牧師(2世、女性)
・藤倉善郎氏(やや日刊カルト新聞主宰)・鈴木エイト氏(やや日刊カルト新聞主筆)・
藤田庄市氏(ジャーナリスト)
・馬場健一氏(カウンセラー、りんどう相談室)

以下記録(一部敬称略)

開会(主催者から会議趣旨説明)

あとむ:自身の幼少時の虐待経験や社会への認知活動を始めた経緯、これまでの活動の経過(2019年10月に教団及び文部科学省文化庁へ通知書を送付、2020年6月に考える会開催)を説明。

2世の苦しみの実態を知りつつ、具体的な活動につなげていきたい。目的としては、エホバの証人2世、カルト宗教2世の問題を社会に認知すること。それが被害の拡大防止、そして、現在過去苦しんだ人にとっても、今まで答えが出なかったことに対する答えになると信じている。

参加者紹介

河弁護士:山口弁護士と同じ事務所で働いている1年目の弁護士。宗教問題は勉強中だが今日の話を参考にしたい。

斎藤牧師:元1世信者で、現在キリスト教会の牧師をやっている。今日は楽しみにしてきた。

大道寺:一回目から参加している。宗教問題に強い関心を持っている。

藤倉:「やや日刊カルト新聞」というサイトを主宰している。生きづらさのような中長期的な問題だけでなく、生活の困窮のような緊急の課題も2世問題にはあると思っている。
(事前アンケートから: 2世をめぐる課題は、過去の経験からくる生きづらさなど問題のほか、家族との断絶や貧困など精神的問題とは別に緊急のサポートを要するケースも多々あるように思います。それでいてカウンセリングや福祉分野の専門家、行政による対応は十分とは言えず、社会的理解も全く足りていません。その中で、より多く、問題の実情に触れ、自分自身の情報発信や相談対応を拡大していく上で、今回の会は非常に有意義だと思いました)

H:典型的なJW2世。あとむさんの志やこの会の趣旨に強く賛同している。

ぴーちゃん:元1世。実際に集会でムチに連れていかれる子供を見て、悲惨さを知っている。自分の知っていることを発信するためにブログを書いている。あとむさんとムチ問題に関してやり取りしている中で興味を持った。

ケイコ:2世で中学生のときに離れた。輸血経験があり、信仰から離れた後だったが輸血拒否をしたことがある。
(事前アンケートから: 輸血が必要となった時、中1で教団から離れたので全く輸血を拒否する立場でも無かったのですが、自ら一度は輸血は「出来ません」と拒否しました。医師に説得されて輸血を受けました。組織への忠節ではなく、熱心に信仰している母を守りたいという気持ちだったと思います。母の組織での立場が脅かされることを恐れました。しかし、わたしのこの気持ちは話さなかったので母はわたしが信仰を守ろうと命を懸けたと思った様です。JWが嘘だと確信したとき、崖から突き落とされるような感覚を味わいました。2世としての運命を、冷やかしや攻撃ではなく話せる場があったらうれしいなと思っていました)

はじめ:2世で兄たちは現役信者。開拓者を4年程した後に間違いに気づき、離れて断絶している。両親は断絶後にショックを受けて心身共に体調を崩している。両親との連絡は限られている。2世問題に関してアクションプランを持って実行したい。

藤田:カルト問題を柱に宗教取材を40年やっている。JW2世にも何人か取材した。経験を聞いて絶句するようなことがあった。問題が複雑で広げないといけないと思っている。

馬場:心の相談室「りんどう」を開催して7年やっている。カルト問題といえば、カルトを脱会させたいという親御さんからの相談が多かった。2世問題は難易度が高く積極的には相談対象としてこなかったが、今後相談があったときにしっかり相談に乗れるように、勉強させて頂きたい。

山口:後ほど意見を色々述べさせていただく。
(あとむ注:弁護士として、有名なカルト教団と真正面から闘ってこられました。昨年私が頼らせて頂いたときも真摯に話を聞いてくださり、文部科学省や教団への通知書も私の代理で送ってくださいました。先日は弁護士連合会の会合に私を呼んで弁護士さんたちの前で自分の経験を話す機会をくださいました)

鈴木:2018年にAERAという雑誌でエホバの2世と統一教会の2世の方へのインタビュー記事を掲載した。2世問題は訴訟とか弁護士が絡むのが難しいが、そのあたりを話したい。また、先日の弁連集会であとむさんが憲法20条の「信教の自由」の侵害という話をしていたのが気になっている。憲法学者で信教の自由の中に親の教育権があるという解釈をしているものもある。
(※AERA 2018年6月11日号 https://dot.asahi.com/aera/2018062200023.html

としき:JW2世。両親や親族が現役。自身はベテルにいたこともある。元JWのためのオフ会を開催し、延べ2000名以上と会っている。2年前に元JWのための会社を設立した。皆さんの思いや意見を聞きたいと思っている。

齋藤(朗):JW2世。夫とともに教会の牧師をしている。小学1年くらいから中学3年まで、脅されつつ活動に参加していたが、その後信仰を拒否した。神の存在を意識せずに生きることはできないと思い、自分にとっての神を探して現在に至る。

テーマ別トーク


① JW2世の経験、苦しみ、望んでいること(はじめまことさん、Hさん)

はじめ
アニメや漫画の禁止で友人と同じことができなかったことが心の傷になっている。大人になってからゲーム依存症になった。

清い組織であるはずの中でどろどろした人間関係に疑問。母が長老に疑問を呈したときに報復され罰を与えられたことがショックで、アメブロで同じ経験がある人がいないか検索したのが間違いに気づいたきっかけ。

一般常識を知らない中で社会生活をするのが難しかった。今まで生きてきた世界が騙されていたもので、核となるものがないと感じた。カルト被害者への偏見はつらかった。断絶してからの家族関係もつらい。長老たちから脅しも受けたので組織の怖さを感じた。

望んでいることは被害者の声をマスコミの方に認知して拡散して、こういう被害者がいると知ってもらいたい、被害にあった人が自分の生活を取り戻せるようになってほしい。自分もできることをしたい。


JW2世として何千回もムチを当てられた。自然消滅して長い。父親が反対者でネグレクトを受け、食べ物が与えられず経済的に苦しんだ。教科書を風呂場に入れられたことも。母親は依存体質で子供に嫉妬する。いわゆる毒親。カルトにはまった原因は夫婦仲の悪さだと思っている。問題点は以下の通り。

  • 復活信仰による死への意識が希薄のため人生設計が遅れた。時間を無駄にしてきてしまった、取り返しがつかない。今からやればいいじゃないと言われるが、そういう問題ではない。
  • 怒りの感情に影響されて人生を楽しめていない 選択の余地がなかった。失敗する経験も重要な選択だが、それができず、自尊心が低い、判断能力が低いと感じる。一般の人からわかってもらえない、甘えていると思われる。就職でも親が過干渉で影響を受けた。
  • 不幸の意識、自尊心のなさ。例えばTVで幸せな映像を見ると疎外感を感じる。自分には手が届かないと言われているような気持になる。自己犠牲、不幸をかぶろうとするバイアスを教えられている。

② 宗教家から見たJW2世問題(齋藤牧師)

宗教そのものが2世問題を作りやすいものだということは申し上げたい。JWのように一般的に問題になっている団体だけではなく、自分が働いている教会でも2世問題が生じていると感じることがある。

支配する側と支配される側の関係性としての親子の関係におけるゆがみ。それが2世問題を生じている。親自身も家族の他のメンバーから支配を受けていたりするが、そのしわ寄せが一番立場の弱い子供にくるため、二重三重に影響を受ける。

人間とは支配したくなる存在である。宗教に携わるものとして、誰にも起こりうることとして、自分の問題としてとらえていきたい。教会にはJWに似たような環境があると感じ、自戒を込めて自覚していきたい。

③ ジャーナリストから見たJW2世問題(藤田氏、藤倉氏、エイト氏)

あとむ:藤田氏は20年も前から「スピリチュアルアビュース」という言葉を使って2世問題を取り上げてこられた。JW2世問題に向き合ったきっかけや取材を通して感じたことを話して頂きたい。

藤田:スピリチュアルアビュースはカルトの本質。生まれてから、子供の時から精神的虐待を受けると、もう立ち上がれない。大変な問題だと思っている。当時そういう発表はなかった。統一教会の2世も同じ問題がある。憲法学で信教の自由の中に親の教育権があるという解釈もあるが、それを当てはめられたらたまったものではない。今後そういう考えを修正していく力にもなると思っている。

藤倉:10数年カルト問題を扱っており、JW2世の取材をしたこともあるが、2世問題の中でJWはかなりひどい、極端なケースが多い。メディアで2世問題が報道されるときはJWが中心。2世問題は他の宗教と共通するものもあり、整理して世の中に発信していくことが今後重要になる。2世の方自身が自己認識を整理して一般に示していくと良いと思っている。

鈴木:親の宗教に子どもを入信させることは道義上問題だが憲法上は守られている権利になっている。あとむさんが親に謝罪を求めているが、その法的根拠をどう考えているのか知りたい。問題に比して話題がまだ盛り上がっていない。何か提言したい。政治に利用される従順な2世の問題などもある。

④ 心理カウンセラーから見たJW2世問題(馬場氏)

カウンセリングの基本として、一律にこうだと言い切ることはできない。個別に事情は異なり、人によってきめ細かくすることが大事。毒親の問題は相談事例として多い。2世のカウンセリングに関してはしっかり勉強して対応していきたい。

⑤ 法律家から見たカルトとJW2世問題(山口弁護士)

親がわが子を自分の信念に沿って育てることはできる。法律問題というより家庭問題の側面が強い。ただしあとむさんの場合は、親が暴力を振るうとか、子どもの運動会の種目への参加や校歌斉唱を禁止するといった事例があり、それはどうなのかと思う。時代の流れとして、子供を棒で叩いて無理やりさせるというのは虐待として許されないことは明白。現在JWがどう指導しているのか知りたい。

悩ましいが、あとむさんからの相談については、暴力と活動への無理強いについては母親は謝罪すべきだと思った。母親の謝罪は正面からのものではなかった。教団本部からは返事がなかった。文化庁宗務課は役所でそういうことには答えない。

母親に対する損害賠償請求は難しい。一つは時効の問題。それで裁判は無理だと判断し別の活動になっている。

あとむ:法的に問題にすることは難しいということは認識しているが、今後の法制化には期待するところもある。憲法は国家に対する法律であるが、子どもたちがこれだけ危機にさらされているという状態を放置していることに対する問題提起をしていければ。現にオーストラリアの首相が国会で、JW内で子どもが児童性的虐待の標的になっていたことを国家が放置していたことを謝罪したこともある。法律がすぐ動くわけではないので、社会に対する認知がスタートだと考える。

⑥ 最近のJWの動向(はじめさん)

ネットの利用、集会や伝道活動の方法が変わっている。コロナによりJW一部信者にとってはストレスフリーになっている現象(一般社会では逆なのに)
11月の手紙キャンペーンは大統領選にぶつけている。この情報をマスコミを通じて行政府に知らせるのはどうか。JWは同調圧力でコントロールしてきたが、疑問を考える時間ができ、マインドコントロールが解除されやすい良いタイミングだと考える。

⑦ JW元信者のコミュニティについて(としきさん)

2000年からオフ会を開催している、延べ2500名参加している。30、40代の方がメインだが幅広い。1世、2世、3世。
目的は、情報収集(やめる前後にどうしたらよいのか)がメイン、あとは相談や友達探し、同窓会に似たような感覚。最初は30名くらいだったが、近年は100名以上が参加。

まずは目先の問題である仕事、住むところの確保といったものが大事。法整備が今後あれば良い。会費は経費をみんなで負担するためで営利目的ではない。外部への認知アピールも進めており、メディアの取材を受けたり、研究者の研究材料にもしてもらっている。番組になる可能性もある。

グループディスカッション~2世問題とは何か、各グループからの発表

グループA(発表内容)

何が問題なのかから広げて、どんなニーズがあるかのディスカッションを行った。
現実問題として脱会後の生活の立て直しが必要、貧困問題もある。近年JW2世がメディアで取り上げられているが、コンテンツとして消費されている側面があり、そこで終わらせてはならず、今後先に進める時期にきている。行政機関に対するアピール。

こういう場に出れる人はある程度恵まれている人もいる。出てこれない人に対する支援、アプローチが必要。ノウハウをためて具体的に動かしていきましょう。

グループB(発表内容)

心のケアでカウンセラーに求められることは何か、ニーズに注目した。
心の整理をするために、否定せずに受け止めてまず話を聞いてほしい。それができないと、親に対する憎しみを手放すこと、親がなぜそうした行為をしたのかを客観的に見るということができない。客観的に見れるように飛び越えるのが難しい。自助グループも似た役割を持っているが当事者がやっているので、人によって違う事情を総合的にサポートできるカウンセラーの立場は重要。

グループC

齋藤: 経験を今後何かで役立てたい。親のキャラクターによって違うところもあるが、2世問題は一定のパターン化しているところがある。JWに対して児童虐待防止法の効力はあるのか。

山口: 問題化すれば社会的批判は免れず、政府としても対応を求められるかもしれない。セクハラ・パワハラも以前は法的には問題ではなかった。

鈴木: 目に見える虐待は話題になりやすい一方で、2世問題は難しい。これも虐待なんだというのを発信できたら良い。

あとむ: 日本でもつい昨日、宗教内での性的虐待がニュースになったりしている。統一教会2世の渡辺さんのように、子どもが声を上げた時に大人が耳を傾けられる環境を作らなくてはならない。

山口: 時代は変わって問題になりやすくはなっている。メディアでも次第に取り上げられている。

鈴木: AERAの記事は2世問題の周知として考えたもの。バランスが取れている方が取材対象だったので取り上げやすかった。編集長が変わって方針が変わり、終わってしまったが。

全体ディスカッション~社会への認知のために

統一教会2世の渡辺さんの取り組みを紹介

200名以上へのアンケートを通じて何で2世が苦しんでいるのかの問題を整理し、今後の必要な支援についても提言している。藤田さんも記事で取り上げておられ、社会への認知に役立てられている。脱会後の苦しみが強いのがJWの特徴でそれがアンケートに出ている。

あとむの活動計画説明

あとむ:1人でできることはほとんどなく、いろんな人を巻き込んでやっていく。
考える会は定期的に開催することで、活動の方向性を決めていく。その運営や各活動の実行を中心メンバーが事務局としてやっていく。被害の実態を把握するために全国的にアンケート実施、証拠の収集を行う。これらに基づいて行政庁に通知書送付、メディアに対する発信を行う。

藤倉:この規模と視野の広さを発揮するためには、準備会という形にして、初期から他の教団出身の方にも参加してもらい、横断的に始めるのはどうか。

ぴーたん:証拠の収集に関しては早く動いたほうが良い。

大道寺:2世問題は幅広く、あまり広げすぎるとゴールが不明確になる恐れがある。ゴールは明確にしたほうが良い。準備会でコアなメンバーで集まって動かしていくのが良い。

あとむ:JW2世をメインストリームとする姿勢は維持しつつ、他の宗教2世とも連携をしていきたい。

【閉会】

会議後アンケート結果

質問:会はいかがでしたか?

質問:2世問題の作業部会や事務局を作るとしたら参加したいですか?

今後の予定

事務局準備のための会合 キックオフを11月初旬に一度開催

次回の「考える会」開催予定:2021年2月20日(土)
※近くなったら改めてご案内します

以上

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このサイトについて

元エホバの証人(JW)2世です。2000年に脱会することができました。
現在は保育関係の仕事をしながら、病気も経験しつつも心穏やかな日々を送っています。
どんな過去があっても人は幸せになれる、ということを伝えていきたい、そして子どもたちの人権を踏みにじる行為を防ぐ力となりたいと思っています。
当サイトが、ものみの塔からの脱会と脱会後の助けになりましたら幸いです。

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