コンティ裁判に関するABCニュースの日本語訳全文書き起こし
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2015年3月12日に米国のABCニュースで報道された「キャンディス・コンティ裁判」に関する映像に、少年カレブさんが日本語字幕を付けてくださいましたので、カレブさんのご許可を得て、そのニュースの全文を書き起こし掲載させていただきます。
皆様のお役に立てば幸いです。
今回紹介するのはエホバの証人として育てられた若い女性です。
彼女は教会の成員から虐待され、教会が加害者を守ってきたと述べています。
そして今全国から続々と被害者が現れています。
今夜はナイトラインのダン・ハリスがお届けします。
今でもあの時の気持ちを覚えています。内面では会衆の人たちに助けを求めていました。(コンティの発言)
キャンディス・コンティの話。男性の指導者のみで構成される裕福で秘密主義の宗教に立ち向かった若い女性です。
「ノース・フリーモント会衆を代表して…」(男性の発言)
彼女によると、彼らは子どもを食い物にする者からの保護を怠りました。
「自分を守ってくれる人を求めていました」(コンティの発言)
私たちがエホバの証人について知っていることと言えばこの教会のビデオのように、彼らが家々をノックして大々的な布教キャンペーンを行なっていることです。
「私たちは問題の多い世の中の人々に慰めを与えています」(エホバの証人のビデオの中の音声)
しかしキャンディス・コンティは、闇の部分を明らかにしました。
「ものみの塔」として知られるニューヨーク本部の中で安楽に暮らす教会の指導者たちが、児童虐待の問題を秘密にするポリシーを維持してきたのです。
「内密の話は公表しません」(男性(弁護士?)の発言)
そして人を傷つけることが繰り返されます。
「ジョナサン・ケンドリックの第一印象を覚えていますか?」(インタビュアー)
「とても大きな人で恐ろしい感じです」(コンティ)
9歳のキャンディを性的虐待したとき、彼はカリフォルニア州フリーモントの小さな会衆で評判の良い成員でした。親がいない時に家から家の伝道に参加したキャンディスをジョナサン・ケンドリックは自分の家に連れ込み性的虐待したと彼女は述べています。
「詳しい部分は本当は話したくないんです。悪夢につながるので…」(コンティ)
「分かりました」(インタビュアー)
彼女は2年ほどの間に月に数回性的虐待されることがあったと証言しています。
「子どもの時にはなぜ告発できないと感じてたのですか?」(インタビュアー)
「これを言い出すことで壊すことになるのは、私が知っている唯一の人たちだったんです。それは恐ろしいことです。」(コンティ)
そこがキャンディスにとっては唯一の場所でした。
彼女が言うには信仰ゆえに孤立して育ったのです。
「この世界について教会はどのように教えていたか覚えていますか?」(インタビュアー)
「エホバの証人以外の人々は生きていても死んでいるようなものだと。」(コンティ)
すべてのエホバの証人と同じく、彼女はハルマゲドンがすぐ到来すると教えられました。
「新しい地が来るのです。地上の楽園です。」(エホバの証人のビデオの中の男性)
そして地上の楽園で生きることになるのは真の信者だけだと教えられます。
エホバの証人として育ち、キャンディスは誕生日やクリスマスは祝わず、教会の外に友達も作りませんでした。
「エホバの証人以外の人は誰でもクリスチャン家族から引き離すためにサタンに用いられるかもしれないからです。」(コンティ)
彼女は大人になり教会を離れてから数年後、性犯罪リストのリストの中にケンドリックが載せられており、他の会衆でも子どもを性的虐待していたことを知りました。そして行動することを決意します。
「私は自分が何もしなかったことで深く後悔しました。他の人にも起きてしまったのです。」(コンティ)
彼女は地元の教会指導者の所に行き自分の体験を話しました。
「彼らは私が証明しない限り、聞き入れません。」(コンティ)
「性的虐待されたことをどう証明するんですか?」(インタビュアー)
「犯罪の証人が二人必要です。」(コンティ)
この宗教の内部の法的システムによると、犯罪を罰するかどうか少なくとも二人の証人を聖書が求めていると教えられています。
「子どもの虐待に二人の証人ですか?」(インタビュアー)
「いるわけありません。まさにそこが要点です。」(コンティ)
彼女は警察に行きました。しかしケンドリックが虐待を否定したため告発されず、調査だけ継続されました。
彼女の次の行動は「ものみの塔」を訴えることでした。
彼女はリック・シモンズ弁護士に依頼しました。彼はカトリック教会の小児性愛司祭の被害者代表を何年も務めていました。
「もし闇の部分に光を照らすべきグループを一つ選ぶなら、まさにこのグループです。なぜなら土曜日の朝にあなたの家のチャイムが鳴って、あなたの子どもが児童虐待者に対応するなんて状況は困りますよね。」(リック・シモンズ弁護士)
キャンディスと弁護人が「長老」として知られる地元の教会指導者に宣誓証言を求めると、驚くようなことが明らかになります。
「あなたはジョナサン・ケンドリックが子どもを性的に虐待したことを知る機会はありましたか?」(裁判官)
「はい。」(長老)
キャンディスが虐待される前に、当時会衆で指導的な立場であったジョナサン・ケンドリックが自分の義理の娘を虐待していたことを長老たちは知っていたのです。
その子が最初の犠牲者でした。
「彼は、ある日の夕方に家で彼女を触ったと告白しました。」(長老)
しかし長老たちは警察に報告することも、会衆の中で警告を与えることもしませんでした。
「そのことは憤慨しましたか?」(インタビュアー)
「はい。嫌悪感を持ちました。本当に嫌悪しました。人を助けることよりも、損害を少なくすることを考えているんです。」(コンティ)
「会衆に知らせないのはなぜですか?」(裁判官)
「私たちは会衆には公表しません。内密なことだからです。」(長老)
秘密主義のポリシーはニューヨークの教会指導部から通達されたものです。
全国の長老たちへの手紙の中で、ものみの塔の児童虐待の問題の扱い方は明確になっています。彼らは幾つかの州による児童虐待報告義務は認めていますが、法で義務が課せられていない場合は教会指導者以外の人には訴えを秘密にするよう言われています。
その理由は「世の人々は自分たちの権利が侵害されたと感じるとすぐに訴訟する」からであると述べられています。
「彼が会衆にいる間は、私たちは彼の行動を監視していました」(長老)
彼らはケンドリックを指導者の立場から降ろしました。ものみの塔のポリシーによると「汚れの理由」だそうです。
「エホバの証人のノース・フリーモント会衆の成員は、どんな形の児童虐待も忌み嫌います。」(ジェームズ・マケイブ エホバの証人の弁護士)
教会の弁護人は、会衆の他の成員による性的虐待から子どもを守ることは宗教組織の責任ではないと主張します。
「エホバの証人は若者の集まりじゃないんです。」(弁護士?)
性的虐待の危険について親たちを教育してきたと言います。そしてキャンディスが訴えている虐待は教会施設の中で起きたことはない、そして彼女の戸別訪問をケンドリックと一緒になるよう長老が割り当てられたのかに関しても疑問を投げています。
「長老たちの仕事は霊的なものです。彼らにそれ以上の仕事を求めることはできないと思います。」(弁護士?)
ものみの塔はインタビューを拒否しました。
代わりに聖書の引用をちりばめた宣言を送ってきました。
「犠牲者は政府機関に報告する権利がある(ガラ6:5)。教会はそれを邪魔しない。
加えて当局から加害者を守ることもしないし、結果を刈り取ることを防ぐこともしない(ガラ6:7)」
陪審員はキャンディスの側に立ちました。里程標になる2012年の評決では、彼女は1500万ドル以上の賠償を勝ち取りました。ものみの塔は控訴しています。
「私は自分がけがれたものだと思っていました。」(女性被害者)
(字幕で「オハイオ州ロレイン」)
キャンディスの勝利は大きく門を開きました。
「僕は彼に牢屋に入っていてほしいです。」(男性被害者)
(字幕で「カリフォルニア州サンディエゴ)
全米から数十件の他の犠牲者が名乗り出て、教会指導部の隠ぺいに対する訴えを起こしました。
(字幕で「バーモント州バーリントン」「コネティカット州ニューヘブン」)
「完全に黙秘しスキャンダルを秘めようとします。」(アーウィン・ザルキン弁護士)
これらの犠牲者は自分の経験を語るのに勇気を奮い起こしています。
しかし、ジョナサン・ケンドリックのような加害者はスポットライトを浴びることを巧みに避けます。
「この道ですね…」(ダン・ハリスが車を運転しながら)
彼は法廷には姿を現さず、私たちの取材も拒否し続けました。それで彼に会いに行くことにしました。
「ケンドリックさんですか?ABCニュースのダン・ハリスです。キャンディスについてお話いただけますか?」(ダン・ハリス)
「ステートメントはこれだよ。キャンディス・コンティと二人きりになったことはないし、虐待もしていない。」(ケンドリック)
「彼女の作り話だと考えているのですか?」「考えるだって?もう言っただろ」「彼女との野外奉仕もしたことないんですか?」「ないよ。絶対ない。キャンディス・コンティと二人になったことなんて絶対ないよ。」
(場面が変わり、コンティとインタビュアーとの会話)
「ケンドリックは強烈に否定してきました。」(インタビュアー)
「彼にとっての一番賢いやり方なんでしょう。子どもを虐待した人から正直な話を期待できるでしょうか?」(コンティ)
(ダン・ハリスとケンドリックの場面に戻る)
「義理の娘に関して教会役員に話した時、彼らは会衆にも伝えるべきだったと思いますか?」(ダン・ハリス)
「おい、なんだよ、それは!」(ケンドリック)
「警察に連絡するわよ!」(ケンドリックの妻)
「内密にしようという話だったんですか?」(ダン・ハリス)
「そんなことではないよ。」(ケンドリック)
「ここに警察官をよこしてください…」
この人はケンドリックの現在の妻です。
「新聞の人が話を持ち帰ろうとしてるのよ…」(ケンドリックの妻)
思い出してください。キャンディスが行動を起こすことを決めたのは、第三の犠牲者について知ったからなのです。それで彼は7か月服役しています。その女の子、ケンドリックの三番目の犠牲者は、この妻の7歳になる孫娘なのです。
「あなたの孫の件について聞いてもよろしいですか?」(ダン・ハリス)
「ノー!ダメよ!」(ケンドリックの妻)
「どうして?」(ダン・ハリス)
「あんたには関係ないからよ!もう刑罰を受けたのよ!」(ケンドリックの妻)
「たしかにね…」(ダン・ハリス)
キャンディスは自分の生活に戻ろうと努力しています。
大学を卒業し、最近婚約もしました。
しかし他のすべての犠牲者のためにも戦い続けると述べています。
「私だけの問題ではありません。苦しみを一人で抱えるわけではありません。私たちは犠牲者になるだけで終わるのでなく、変革のために語ることができます。そうすれば痛みに耐えた価値が少しでも出てきます。」
キャンディスの評決以来、教会は児童虐待に関する内密ポリシーに幾つかの調整をしてきました。しかし、キャンディスを含め、それは十分でないと述べます。
ジョナサン・ケンドリックはどうでしょう?彼は自分が今でも良い立場のエホバの証人だと述べています。
「あんた、何よ!」(ケンドリックの妻。ダン・ハリスに向かって。)
サンフランシスコからダン・ハリスがお届けしました。
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