敵を味方にするということ
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私は普段あまりスポーツ番組は観ないのですが、サッカーJ2横浜FCの三浦知良選手の、野球評論家の張本氏に対する素晴らしい対応に感動しましたので、ちょっと前の出来事ですが、こちらでご紹介させていただきます。
張本氏は4月12日放送のTBS系『サンデーモーニング』の放送中、48歳になってもなお現役を続けるサッカーJ2横浜FCの三浦知良選手(通称:カズ)に「(J2は)野球で言えば2軍のようなもの。もうお辞めなさい」と引退勧告とも取れる発言をしました。
これに対し、案の定、ネットなどでは「老害」「あなたが辞めるべき」との批判的な声が続出しました。
こうした中、カズはなんてコメントするんだろうと思っていたら、こんな素敵な対応をしました。
これについてカズは、憤るどころか感謝の言葉を並べた。「『もっと活躍しろ』って言われているんだなと思う。『これなら引退しなくていいって、オレに言わせてみろ』ってことだと思う」と前を向いた。
昔から、巨人ファンを公言するカズ。張本氏が巨人入団したころも、テレビにかじりついて応援していたという。「長島さんが引退して、張本さんが巨人にきた。たしか背番号は10。王さんと組んで活躍したことは今でも覚えているし、憧れていた。そんな方に言われて光栄です。激励だと思って、これからもがんばります」と、力強く話した。
(カズ、張本発言に感謝「『もっと活躍しろ』って言われているんだなと」 – サッカー – SANSPO.COM(サンスポ) 2015/04/14 11:59)
こんなふうに返されたら、批判した人も脱帽です。
結果、張本氏はカズの対応を絶賛。「会ったことはありませんが食事をごちそうしたい」と“ラブコール”を送っています。
そんなふうに言われたら、普通なら反論するでしょう。それを三浦選手は「言われるのは光栄。激励だと思って頑張る」と、さらっとかわした。なかなかそんなコメントはできませんよ。日本男児の美徳。あのコメントで、言った私の方が恥ずかしい気持ちになってますから。
(張本氏 カズ最年長弾を称賛「またやったか!最後まで応援したい」 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー 2015/04/20)
普通なら、人に批判されたら「なにを!」と憤り反論したくなるところを、こうした大人の対応をしたことで、誰も傷つかない、批判した人がちょっぴり恥ずかしくなる、そして、批判した人が味方になるような状況を産んだのです。
以前、当ブログで「世の中への貯金」というエントリを書きました。
ここで書いた、”何を得て、何を失ったか”ということを今回のカズの件で考えると、感情的に反論した場合は、言い返してやったという小さな満足感を得て、低俗な罵り合いをする人という印象をもたれる(=信用を失う)という結果になったことでしょう。
反対に、今回カズが得たもの・失ったものはなんだったのかは、もう一目瞭然です。感情的に反論した場合に対して、今回カズが取った言動によって得たものの大きさは計り知れないと思います。
「世の中への貯金」の大きな一つの例だと思いますので、私も心にいつまでも留めておきたい事柄です。
また、素直にカズの対応に敬服し、応援の言葉を贈った張本氏も素敵だったと思います。多くの人々を引き付ける魅力を持つ方々に共通しているのは、このように器が大きいということだと思います。
目を覚まして欲しいと思っている方への説得においても、この器の大きさということと、敵を味方にするということを意識して行いたいと思いました。
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