人を動かす天才、吉田松陰及び松陰神社について

吉田松陰と松下村塾

時代を読み解く先見性と類まれな行動力で、明治維新の先駆者となった吉田松陰(よしだしょういん)。彼が開いていた学校、「松下村塾」(しょうかそんじゅく)は奇跡の学校と呼ばれています。
今回、松下村塾はどうして奇跡の学校と呼ばれているのか、また、松陰は松下村塾でどのようなことを生徒たちに教えていたのかを分かりやすく紹介していた本がありましたので、備忘録を兼ねてこちらでその内容をご紹介させていただきます。

松陰は、江戸時代後期、幕末の人です。長州(今の山口県)の「萩」(はぎ)で、松下村塾を開き、79人の若者に様々なことを教えました。その門下生には、高杉晋作(たかすぎしんさく)、久坂玄瑞(くさかげんずい)、よくテレビの新撰組に登場する桂小五郎(かつらこごろう)…後の木戸孝允(きどたかよし)、伊藤博文(いとうひろぶみ)、山縣有朋(やまがたありとも)という人たちがいました。

この松下村塾が実質的に松陰の手によって開かれていたのは、安政3年(1856年)9月から安政5年(1858年)12月に至るわずか2年4か月の間です。
そして、これほど短い期間しか学校を開けなかったのにも関わらず、その時代に門下生の中で、5,6人がヨーロッパに留学しているのです。言葉も分からないあの時代に、ヨーロッパってどこにあるの?という時代に、日本を良くするためにヨーロッパに学ぼうと、留学しているのです。さらに、その門下生の中から、明治維新後の総理大臣が二人出ています。初代総理大臣の伊藤博文と、三代目の総理大臣、山縣有朋です。そして10数名の大臣も出ています。松下村塾からは、明治維新を遂行し、明治政府を担い、今日の日本の基礎をつくった多くの人材が出ているのです。
そしてすごいのは、「79名の若者」は、優秀な人たちを集めたわけではない、というところです。松下村塾に集まっていたのは、片田舎の若者たちでした。そこには農民の子、武士の子、商人の子…いろんな若者が集まっていました。

吉田松陰は子どもたちから「松陰先生」と呼ばれていたのですが、松陰先生が教えたことは、結局その79人の若者たちに、「お前は何のために生まれてきたのか」「お前の生まれてきた役割は何か」ということを教えた…というよりは、気づかせた、ということです。「お前の長所はこういうところだぞ。これから、それを活かして、どう世の中の役に立っていくんだろう?」と。

比田井和孝 比田井美恵著 『あなたの人生が変わる奇跡の授業』より

自分の長所、役割に気付いた人は、すごいパワーを発揮します。その後、松陰は安政の大獄で、満29歳2か月で刑死するのですが、松陰が処刑された後も、門下生たちは自分の力で日本のために活躍していきます。

松陰が教えていた当時、中にはこのようなことをいう門下生もいたそうです。「松陰先生、世の中に生まれてきた役割って言われても、私には分かりません」。そんな門下生に対して、松陰はこう言ったそうです。

「”至誠”を貫きなさい。”至誠”とは、普段やらなければいけないことを、真剣に本気で、誠意を持ってやることだ。朝起きたら、玄関の掃除、鳥のエサやり、布団干し…そういうことを真剣にやりなさい。絶対に手を抜かないで、とにかく真剣にやりなさい。そうしたら、いつか自分の役割が必ずわかる」

比田井和孝 比田井美恵著 『あなたの人生が変わる奇跡の授業』より

そのとき与えられた仕事を、本気できちっとやっていったら、「あ、自分が生まれてきた役割ってこういうことかなあ」と気が付くそうです。ですから普段が大事ということです。普段どれだけのことをやっているか、それが大事だと、松陰は教えたそうです。私も、普段の生活で至誠を貫いていきたいと思います。

コメント

“人を動かす天才、吉田松陰及び松陰神社について” への5件のフィードバック

  1. さとのアバター
    さと

    こんにちは。
    松蔭の生き様はすごいですよね。自分も幕末もの大好きです。
    幕末ものでしたら、やはり司馬遼太郎の小説がお薦めですね。
    中でも、『竜馬がゆく』『燃えよ剣』『花神』『世に棲む日日』まだまだありますが、このあたりがお薦めです。
    長編が多いですが、是非、読んでみてくださいね。
    幕末以外もお薦めいっぱいあります。

    1. Maayaのアバター

      さとさん、こんにちは。
      お薦めの本を教えてくださり、ありがとうございます。
      司馬遼太郎さんの本はまだ読んだことがないのですが、さとさんとしては、一番のお薦めはどの本ですか?(本を読むスピードが遅いので、とりあえず1冊だけでもと…^^;)

    2. Maayaのアバター

      さとさん、こんにちは。たびたび失礼します。
      最近、ある本を読んでいましたら、たまたま司馬遼太郎さんの小説について記述がありました。
      司馬遼太郎さんの作品を「登場人物の生死に注目して読むように。そうすれば、そこに人生の流れを読み取れる」と書いてありました。どんなに知恵や能力があっても、人に嫌われたら途半ばで死んでしまったり不運の死を遂げたりしてしまう、豊臣秀吉や、『峠』の主人公の河井継之助(つぐのすけ)は、周りの人からの人気があったからこそ、天下人にまで登りつめたり、急速に出世することができた、ということが書かれていました。
      ただ、徳川家康は、恐怖で日本を締め付けて約260年続いたので、かならずしもそうとは言えないところもあるとは思いますが…^^;
      何はともあれ、司馬遼太郎さんの本は、多くの人を引き付ける魅力があるようですね。どれから読もうかまだ迷っています…。

  2. さとのアバター
    さと

    maaya さん
    お返事ありがとうございます。また、返信遅れまして失礼しました。

    人に好かれるということ物事を成し遂げようとするには大事な事ですね。
    幕末でも、頭が良くても議論で人を論破するような人は、後々暗殺されることが多かったと言われていますね。
    家康は恐怖で日本中を締め付けたのは特異なことなんですかね?
    家康でなく、信長や秀吉だったら本来の日本人のラテン系のノリの国になってたかも。と想像が尽きません。

    お薦めの司馬遼太郎の本ですか。うーん、まず「竜馬がゆく」ですかね。
    全8巻で長いですが、是非、チャレンジしてみて、また感想を書いてくださいね。

    1. Maayaのアバター

      さとさん、こんにちは。
      こちらへの返信が大変遅くなりまして、申し訳ございません。
      お薦めいただいた『竜馬がゆく』をついに読み終えました!
      私にとっては、かなり難しかったのですが、当時の出来事が詳細に綴られていて、タイムスリップしたような感覚になりました。
      竜馬のすがすがしい生き方、志の高さ…爪の垢を煎じて飲みたいです。
      ただ、志士同士が斬りつける場面などは夢の中にも出てきてしまい、少し怖かったです…(^^;
      竜馬はもともと好きでしたが、こちらの本を読んで、ますます好きになりました(*^^*)
      昨日、竜馬に関する記事をアップしましたので、すでにお読みいただいているかもしれませんが、よろしければこちらの記事もお読みいただけたらと思います。https://maaya-kawashima.info/20180606/4151/

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