ずっと死のうと思ってた – ものみの塔(エホバの証人)の2世信者として長く苦しんできたこと(第2回)

人間不信に陥っていく状況を作り出していたものみの塔の罠にはまる

子ども時代は私を含む兄弟全員が、問答無用で子どもたちをものみの塔に従わせようとする母と、それを阻止しようとする父の間で板挟みとなっていました。

例えば毎週日曜の集会に行く時には、父と母の間で喧嘩が起こり、父の目をかいくぐるようにして子どもたちは母の車に乗り込んでいました。車に乗り遅れた兄が父に見つかり片腕を捕まれ、その瞬間母が兄のもう一方の腕を捕まえて引っ張り合いになり、その光景を見て「お兄ちゃんの体が裂ける!」と思った時もあります。

なぜ腕を引っ張った位で「体が裂ける!」と思ったのか。それは、組織の出版物の挿絵で初期クリスチャンが拷問を受けたり処刑される場面が描かれており、処刑方法の一つとして、体を裂くものがあったためです。「真のクリスチャンはこのような迫害を受けてきた。これからエホバの証人も迫害者によって、そのような目に遭う」と教え込まれていたため、「迫害者」である父に何をされるか分からないという恐怖を植え付けられていたのです。

ものみの塔を盲信し何事もエホバかサタンかで断罪する母やエホバの証人たちを信用することはできませんでした。また、母や子どもたちを迫害していた(と思い込まされていた)父や、「悪魔サタンに支配されている、間もなくハルマゲドンで滅ぼされる」とされているエホバの証人以外の人々にも心を開くことはできませんでした。

私はものみの塔組織と教義が人を不幸にしていく様子を見ていていたことに加え、自分自身が苦しんでいたので常にものみの塔に不信感を持っていました。そしてそのようなことを口に出して言うことなど許されない状況だったのですが、もしかしたら自分の本当の気持ちを言っても大丈夫かもしれないと思ったのが、年の近い妹でした。

宗教活動を喜んでしているようには見えず、学校の成績も優秀な妹でしたので、わずかな望みをかけて、ある晩「私、ハルマゲドンが来てほとんどの人が滅ぼされて、生き残ったエホバの証人たちと一緒に楽園で永遠に生きるというのは信じられないし、嫌なんだけど…」と言ってみましたが、妹は「お姉ちゃん、信仰が足りないんじゃない?」と答えたので、私はそれ以降「妹に密告されるかもしれない」という恐怖に陥りました。そして誰にも自分の気持ちや考えを話さないようにすることにし、心にフタをすることにしました。

このように、組織は実の姉妹間をも不信に陥らせるのです。妹のことを信用できるようになったのは、お互いが組織から離れた後のことでした。

エホバの証人のコミュニティは相互監視の強い世界でした。
お小遣いでジュースを買っただけでも知らぬ間に密告され、それを知った母から激怒され、高校生になるまでジュースを買うこともできなくなりました。
なぜお小遣いでジュースを買うことがいけないのかよく分かりませんが、当時の教育内容を思い返すと、ジュースを買うお金があるのなら組織に寄付をしなさい、ということなのだと思います。

コメント

“ずっと死のうと思ってた – ものみの塔(エホバの証人)の2世信者として長く苦しんできたこと(第2回)” への2件のフィードバック

  1. sonia yamashitaのアバター
    sonia yamashita

    まさに今、恐怖に勝てずに負けそうです。
    離れた二世です。
    毎日を恐怖との戦いで生きていて、どうしたら抜け出せるのかわかりません。
    このサイトがまだ生きていたら、たすけてほしいです。

    1. Maayaのアバター

      とてもお辛そうですね…。
      私は現在は宗教問題とは距離を置いており、個人的な相談には乗っておりませんが、当サイトの「ものみの塔によって苦しんでいる方へ」の記事が少しでも参考になれば幸いです。
      あの世界から抜け出すことに成功し、今まで生きてこられたということだけですごいことだと私は思います。
      私自身も今大変な状況ですが、お互い生き抜きましょう!

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