カテゴリー: 本とサイトの紹介

  • エホバの証人問題が注目されているようです

    エホバの証人問題が注目されているようです

    先日、知人からエホバの証人問題が注目されてきていることを聞き、遅ればせながらニュースの特番で現役幹部の証言が放映されたことを知りました。

    また、「エホバの証人問題支援弁護団」が結成されたとの記事も拝見しました。

     

    この弁護団事務局のメンバーで、自らもエホバの2世信者だった田中広太郎弁護士のツイッターで知ったのですが、先ほど「エホバの証人問題支援弁護団」のホームページが開設されたそうです。

    今回のニュース特番では、田中弁護士のTwitterでも書かれているように、今まで全国版のメディアではなかなか言及されてこなかった「ムチ」の問題も取り上げられていたのが感慨深かったです。

     

    当サイトでも、ムチの忌まわしい記憶の体験談が多く掲載されている「エホバの証人2世の体験談」、輸血禁止についての「エホバの証人である母に輸血拒否されて殺されないために」や「エホバの証人は献血も禁止されていました」、忌避問題についての体験談「忌避問題~排斥された信者達の体験談」のアクセスが増えており、輸血禁止問題だけでなく、これまでメディアであまり取り上げられてこなかった「ムチ」や「忌避問題」にも世の中の関心が高まってきたのが感じられます。

    私自身は、現在は宗教問題とは距離を置いておりますが、有志の方々によるご尽力が功を奏しここまでエホバの証人問題が認知されてきたことに驚きました。その中には、このサイトを見て頂いたり、コメントを頂いた方々もいらっしゃるのかなぁと一人想像しています。

    ご活動くださっている弁護士や医師、弁理士の方々、また大変な状況の中、被害の声を上げてくださっている元エホバの証人の方々に心より感謝いたします。

  • 「あと一日だけ生きてみよう」

    「あと一日だけ生きてみよう」

    エホバの証人だった子ども時代、何が一番つらかったのかとよく考えてみたら、自分の良心に反するエホバの活動をしなければいけなかったこと、そしてエホバの証人の子どもたちが虐待を受けるのを見ていても、何も行動を起こすことができなかったことかなと思います。

    自分たちだけが正しくて、信者以外の人たちは悪魔サタンに支配されている、間もなくエホバの証人以外の人たちはハルマゲドンでエホバに滅ぼされるという教義を広めて、新たな信者を獲得するよう伝道(布教活動)しなければいけなかったことは、今でも自分を苦しめています。

    エホバの証人2世の方々や、信者たちから忌避をされている方々が、今も非常に苦しんでいる状況を知るにつれ、「なぜ、エホバの証人として集会に出席していた頃、壇上で講演をしていた信者のマイクを奪い取って、『子どもたちを虐待するのはやめてください。子どもたちに信教の自由、進学・就職の自由を与えてください。忌避はやめてください』と言わなかったのか」と過去の自分のあまりの勇気のなさに嫌気が差すようになりました。

    当時の自分にできたことは、自分の良心を押し殺してただ耐えること、冷酷で残酷で、矛盾する教えを説く「愛の神、エホバ」の教義を考えないようにし、死なないように生きていくことでした。

    先日、ネットで「愛の神 エホバ」で検索してみたところ、教団の公式ホームページの「エホバ ― 残酷な神か,それとも愛に富む神か」(エホバの王国を告げ知らせるものみの塔 1985)というタイトルの記事などが出てきてました。近年でも、「エホバは愛の神」と強調する記事が多く出ており、いかにエホバが愛に富んでいる神なのかを力説し、納得させようとする文章でしたので、信者たちの中に「実際には全然愛の神ではないよね?」と気が付いていらっしゃる方も増えてきたので、このような記事を公開するのかなと思いました。

    子どもの頃から限界を感じた時に自分に言い聞かせていた言葉のうちの一つは「あと一日だけ生きてみよう」という言葉でした。

    かなり昔に、『だから、あなたも生きぬいて』(大平光代 著)という本に出会った時に、「ご著者の大平さんは、壮絶な経験をされながら、ものすごい努力によって弁護士になられたんだ!だったら大平さんほどひどい目に遭ったわけではない私なら、なおさら生きていけるはずだ」と感じ、勇気をもらっていました。

    なお、大平さんの経歴については以下の通りです。

    中学2年生のとき、いじめを苦にして割腹自殺をはかる。その後、自暴自棄になり非行に走る。16歳で暴力団組長の妻になり、背中に刺青をいれるほどに。6年間極道の世界に生きた後、養父・大平浩三郎氏と出会って立ち直る決意をし、猛勉強を開始。「宅建」「司法書士」と次々と合格し、29歳で最難関の「司法試験」に一発で合格する。現在、非行少年の更生に努める弁護士として活躍している。
    (『だから、あなたも生きぬいて』表紙裏より引用)

    大平さんはそれまでの交友関係から抜け出し、養父の大平さんやご友人たちの応援を受けて猛勉強に励むのですが、特に本の最後のところにあった下記の解説の文章が心に響いていました。

    「自分の存在価値を認めてほしい、自分を理解してほしい」ーそんな大平さんの思いを、彼らが受け止めた。大平さんは、「この人たちの中で生きていきたい」と思うようになった、と語っている。

    生きていれば、そういう出会いもきっとある。今を苦しんでいる子供に、5年、10年先のことを想えというのは、酷だろう。でも、せめて一日、あるいは半日、せめて5分でいいから、とりあえず生きてみて、それから考えようと、声をかけることはできないだろうか。「判断の先延ばしは、悪いことばかりではないよ。5分経ったら、次の5分、そしてさらに5分…その中で、必ず何らかのチャンスに巡り合える。『だから』あなたも生きぬいて」と。

    「そうだよね、『あと一日だけ生きてみよう』っていう考え方は、間違ってないよね。現に、その言葉に支えられながら、私はこうして大人になっても生きているんだし、私のことを理解してくれる友人にも恵まれたわけだし…」と今年、久しぶりにこの本を読み返しながら思いました。

    今年は特に落ち込むことが多かったのですが、精神状態が逆もどりしてしまった場合には、過去に読んで良かった本を読み返すのも有効だなぁと感じています。

    未だに当時の自分を責めてしまい、非常に落ち込んでしまうこともありますが、自分の本当の気持ちを言うことを許されず、何も行動を起こせなかった子ども時代を悔やむよりも、今の自分にできることをこれからもやっていきたいと思います。

  • 「カルト宗教信じてました。」の電子書籍版がアマゾンで275円のセール 12/11 午前1:59まで

    「カルト宗教信じてました。」の電子書籍版がアマゾンで275円のセール 12/11 午前1:59まで

    以前、当ブログでもご紹介しました、元エホバの証人2世の「たもさん」さんのコミックエッセイ『カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由』の電子書籍版(Kindle版)がアマゾンのセールで275円で販売されています。12/11 午前1:59までの価格です。

    KindleはスマホやPCに無料のソフトをインストールすることで電子書籍として読むことができます。まだ読んでおられない方はこの機会にぜひお読みいただければと思います。

     

    以下に、kindle端末を購入しなくても、お持ちのスマートフォンやタブレット端末に無料のKindleアプリをインストールすれば、Kindle版が出ている本を読むことができるアプリもあります。

    Kindle端末がなくても大丈夫 – Kindle無料アプリの入手

     

  • 週刊誌「AERA」に元エホバの証人2世のインタビュー記事が掲載されました

    週刊誌「AERA」に元エホバの証人2世のインタビュー記事が掲載されました

    本日2018年6月4日発売の週刊誌「AERA 2018年 6/11 増大号」に元エホバの証人2世である女性のインタビュー記事が掲載されました。
    こちらの方は、「ゴン」さんというハンドルネームでブログも書かれています。
    以下のご自身のブログで、AERA掲載にいたるブログを書くことについての考えが綴られておりますので、併せてご覧いただけたら幸いです。

  • 子ども時代にやってみたかったことをしました

    子ども時代にやってみたかったことをしました

    エホバの証人だった子ども時代、私は自由にお菓子を作ることはできませんでした。教義でお菓子作りが禁止されていたわけではありません。

    信者同士のお茶会やお食事会(「交わり」と呼びます)の時に、各自が食事やおやつを持ち寄ったりしていたのですが、その際に信者たちは手作りのお菓子を持っていくこともありました。そのような時にはうちでも作ることを許されたのですが、信者が集う場に行くこと自体が憂鬱だった私は、「交わり」のために自分で作ったことがあるかどうか記憶がありません。

    うちの場合は、宗教活動とそのための行動(この場合は「交わり」のためのお菓子作り)以外のことをすると、「そんな無駄なことをして!もうすぐハルマゲドンが来るのに、そんなことやっている場合ではないでしょ!」となる(毎回ではありません。母の機嫌次第です)ので、様々なことに罪悪感を持つようになっていきました。

    交わり以外の機会に何度かお菓子を作ったことはありましたが、母は「お菓子は、作るよりも買ったほうが早い。その分奉仕(布教活動)に行ける」という方針だったため、母の怒りに触れないかびくびくしながら作っており、次第に「心臓に悪いのでやめよう」という結論に達してやめました。

    私は小学校の図書館で、「わかったさん」シリーズのお菓子の本を読んだりしながら、「いつか自由にお菓子を作れるようになったらいいなあ…。」と思っていました。

    最近、久しぶりにわかったさんの本を読んで、「そういえば、もう自由の身なんだし(気が付くの遅い!!)、子ども時代に作ってみたかったものを作ろう!」と思い立ち、クレープを作りました。クックパッドのレシピも参考にしながら、生地には豆乳を使ってみました♪
    中身は生クリームとバナナです。

    そういえば、屋台のクレープを買ってもらうのも、夢だったなあ…。(屋台のクレープを食べたいという夢は、自分で働けるようになってから、叶えました(*^^*))

    それにしても、「わかったさん」シリーズの本、懐かしかった…(*^^*)
    姉妹篇の「こまったさん」シリーズも好きでした。

    作っていたら楽しくなってきたので、100均でチョコペンを買って、お絵かき…☆

    私は脱会して18年の年月が経っていますが、友人の観察によると、まだまだ教団の教えやトラウマに囚われているようなので、小さなことでも、本当に自分がやりたいことをできるようになっていきたいと思います。

  • 「ママの推しは教祖様」を読みました

    「ママの推しは教祖様」を読みました

    友人に勧められて、「ママの推しは教祖様」というコミックを読みました。
    ご著者「しまだ」さんの母親がある宗教(宗教を特定できないよう詳細は変えてあるらしいですが、エホバの証人ではないようです)にのめり込み、家族が振り回される話でした。

    画風が明るく、母親や宗教にツッコミを入れながら面白おかしく話が展開していくので、どんどん読み進めて行きましたが、最後の描き下ろしは急に画風が変わり、「実際はこうだったんだろうなあ…」と思わせるものでした。

    新興宗教にはまって、何もかも宗教のフィルターを通してでしか物事を見ることができなくなり、話が通じなくなってしまう母をフラットな視線で見つめ続け、大人となった現在、そのような子ども時代と向き合った「しまだ」さん。暗い過去に引っ張られたくないし、全部ひっくるめたら「ハチャメチャ」の一言で済む話、と書かれていましたが、一番最後のページで胸が締め付けられました。

    私は最初、無料のWEB版を試しに読んでみて、続きが気になったので本を購入しましたが、最後の描き下ろしあっての話だと思ったので、買って良かったです。

    無料のWeb版はこちら。7~10話と12話以降は書籍かKindleにだけ収録されています。

    「これこそが真実!」と心を揺さぶられて入信したり、心の安定を求めて入信したはずだったのに、周りを巻き込むようになり、なかなか宗教に興味を持たない娘に「目覚めてほしい!」と願い、果てには「教祖様」を否定する子どもに暴力…。
    私が入信していた宗教と重なることが多々ありました。また、熱くなりすぎて周りの人に自分が良いと思ったものを強引に勧めるくだりなどは、身につまされました。

    ご著者のツッコミが的を得ていて、共感できる場面が多くありましたが、特に下記の言葉が心に響きました。

    いわゆる「人生の教科書」って人それぞれだ
    誰だってリスペクトしてる人物の作品や言葉 思想の影響は受けるし 熱中しすぎて周りが見えなくなることだってよくある
    ママはそれがたまたま宗教で…それがカルトだっただけ
    何度も言うが宗教が悪いのではない
    ただ「それひとつだけ」を完全に正しいと思い込み 盲目的になることが何よりも恐ろしいと…ママを見る度に思う

    誰にでも、はまるものはあるし、好み、考え方は色々。時には意見の違いで議論になることだってある。でも、他の人の意見も聞けなかったり、自分とは違う価値観を認めないほど盲目的になってはいけないな、と思いました。
    「しまだ」さんは、「せめて自分はそうならないように気をつけたい… ただただ平和に楽しいのが一番いいと私は思うなあ…」と書かれていました。

    私も過去記事『私の好きな言葉「Respect for others」』でも書きました通り、人それぞれがお互いを尊重することが大事だと思います。

    こちらの記事も是非読んでみてください。京都のお坊さんが日本人の宗教観と共に、人それぞれがお互いを尊重することが大事だと語っております。

    最近、宗教体験に関するマンガが次々と出版されていますが、このようなマンガは他の宗教に入信されていた方の体験を知ることができるだけではなく、自分の考え方、言動を振り返ったり、過去と向き合うこと、これからを考えることにも役に立ってくれていると感じています。

  • 最近読んで良かった本

    最近読んで良かった本

    カルト宗教、信じてました。

    5月1日に発売された、たもさんの『カルト宗教、信じてました。』。読んで良かったです。

    エホバとは無関係の方々にもぜひ読んでもらいたいコミックでした。軽快なタッチの絵ですが、ご著者の半生は読む人に大切なメッセージを伝えてくれると思います。

    なぜエホバの証人が「子どもを殺す宗教」と言われることがあるのか、理由が分かると思います。

    以下、他に最近読んで良かった本のご紹介です。(あくまでも私の好みです)

    好奇心を“天職”に変える空想教室

    小学生から大人まで、幅広い世代の方々にお薦めです。

    北海道の田舎の会社で宇宙開発をしている植松努氏。彼は周りから「無理だ」と言われても、失敗を繰り返しながらも工夫を続け、民間での宇宙開発に挑み続けています。

    植松氏の言葉は純朴なのですが、自分の可能性に挑戦するきっかけを与えてくれる、そして壁に突き当たった時に力をくれるような本です。

    「やったことがないことを、やりたがる人。あきらめない人。そして工夫をする人。そういう人がもっと増えればいい。(中略)夢と希望はただ奪わなければいいだけです。あきらめ方を教えなければいいだけです。みなさんがそうするだけで、10年後の社会は変わります」

    なお、植松氏については以下の過去記事でご紹介しておりますので、併せてご覧いただけましたら幸いです。

    新津春子。世界一のおそうじマイスター!

    羽田空港は2013年、2014年、2016年、2017年に「世界で最も清潔な空港」に選ばれましたが、その背後には新津春子さんの大きな貢献があります。

    清掃という仕事に全身全霊で向き合い続け、「国宝級の清掃職人」とまで言われるようになった彼女は、中国生まれで父親は中国残留孤児の日本人、母親は中国人です。一家で日本へ「帰国」した17歳当時は全く日本語が話せず、日本語が話せなくても雇ってもらえたアルバイトは清掃の仕事だけで、それが清掃の仕事の始まりでした。

    中国では日本人ということでいじめを受け、日本では中国人として差別を受けていた新津さん。こちらの本では、清掃業や女性に対する偏見に立ち向かってきた彼女の半生が描かれており、その仕事に対する真剣な姿勢に思わず背筋が伸びました。

    清掃の世界の奥深さも知ることができたと同時に、彼女の細やかな心配りに心が温かくなりました。児童書なので文字が大きめで、小学校高学年向けにふりがな付きなので読みやすいです。大人が読んでも心に響く内容だと思います。(NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』のこちらのページで、動画を観ることができます。)

    番外編

    よく、寝る前には美しいものを見たり、楽しいことを考えながら眠りに就くと良いと言われていますが、私がよく見ているのは富井義夫氏の世界遺産の写真集です。富井氏の親しみやすい解説と共に紹介されている、空気感あふれる写真を眺めていると、自分の中にスペースが作られていく気がします。
    100キロを超える荷物を抱えて移動をされながらの撮影だそうですが、連綿と続く人類の歴史を自宅に居ながらにして感じさせていただき、感謝感謝です。

    同じく、写真家の三井 昌志氏のサイト『たびそら』も好きです。

  • 「カルト宗教信じてました。」が出版されます

    「カルト宗教信じてました。」が出版されます

    元エホバの証人2世の「たもさん」のコミックエッセイ『カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由』が5月1日に発売されます。

    アマゾンと楽天ブックスで予約を受け付けているそうです。
    たもさんのブログでも書かれておりますが、Kindleなどの電子版も出版予定とのことです。これで現役の親に隠れてこっそり読むことがしやすくなりますね。

    ご著者のブログ「たもさんのカルトざんまい」はこちらです。

  • いま、ここを真剣に生きる ~「嫌われる勇気」を読んで

    いま、ここを真剣に生きる ~「嫌われる勇気」を読んで

    以前から読もうと思っていた「嫌われる勇気」を、SAKURAさんに勧められてついに読みました。

    この本の中で、特に心に響いたのは以下の点です。

    • 自らの「不幸」を特別であるための武器として使わないこと
    • 自らの生について、自分にできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」。その一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、自分にはどうにもできない。
    • どこまでが自分の課題で、どこからが他者の課題なのか、冷静に線引きをする。そして他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。

    本の最後の部分に書かれていたように、過去も未来も見えなくなるくらい、「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当て、いまできることを真剣かつ丁寧にやっていこうと思います。

  • 初めて心療内科を受診しました

    初めて心療内科を受診しました

    アルバイトの仕事でいつも真っ白に

    私は今年、あるラーメン屋さんでアルバイトをしていたのですが(その時の記事はこちらです)、結局そのラーメン屋さんも短期間しか働けませんでした。

    学生時代や20代前半の頃は様々なアルバイトを、とろいなりにもなんとか業務をやっていて数年間働けていたのですが、今回は短期間のうちに働けなくなってしまいしました。何か大きなミスをしたりいじめられたわけではありませんが、精神的に追い詰められるようになってしまったからです。

    それは、「自分はどんなに頑張っても、周りの人たちのようにうまく働くことはできない」と気が付いたから、そしてオーナーのA氏が大変な苦労をしながら成長させてきたこのお店を、私のせいで評判を落としてしまったら取り返しのつかないことになってしまう、という不安が募ったからです。
    ストレスのせいでまるで風邪を引いた時のように声がしゃがれてしまい、一日当たり5時間働いただけで心身が疲弊して、帰宅してからそのまま着替えることもできずに翌日まで部屋の中で倒れていました。そのため本業の仕事ができなくなってしまいました。

    私は飲み込みや物覚えが悪く、周りの人たちがすぐに記憶できる内容もなかなか覚えられないので、メニューや店内の写真を撮らせてもらい、自宅で数時間かけてメニューとテーブル番号とマニュアルをノートと単語帳にまとめて暗記をしてからアルバイトに臨んでいたのですが、それでも実際に働く場面になるとしばしば頭の中が真っ白になってしまい、せっかく時間をかけて覚えてきたことも抜け落ちていました。

    心療内科受診を勧められて

    そんなこともあり、仲の良い友人に「発達障害だと思う。病院を受診したほうが良いと思う」とアドバイスされ、人生で初めて心療内科を受診しました。

    自分でも以前から、自分のこの何事もうまくいかない現象について、何となくおかしいなあと気が付いていましたが、「まあ、誰にでも苦手なことはあるし、それにうまく仕事ができなかったりミスが多いのは相貌失認のせいとか、疲れのせいかもしれないし…」と思って受診したことはありませんでした。
    しかし、今年は症状が今までで一番ひどく出ていたため、「障がいがあるのかないのか、はっきりさせて、前に進みたい」という思いが強くなり、友人の前述の一言が後押しとなり、受診することを決意しました。

    受診する前に、長年私を見守ってくれている方にも相談したところ、「最初に会った時から発達障害関係なんだろうなと気が付いていたよ。ショックが大きいと思って言わずにいたけど。」と言われ、「ああ、もうこれはほぼ間違いないなあ…」と思いながら都内の病院に予約してから行きました。

    受診

    診察は女医さんが担当してくださったのですが、診断の結果、やはり私には発達障害の要素があり、それに加えて幼少期の虐待のトラウマによって症状が強く出ていることが分かりました。

    予想通りの結果だったとはいえ、「私には相貌失認以外にも障がいがあるのかあ…」としばらくは非常に落ち込んで、眠れない、涙が止まらない、呼吸を無意識のうちに止めてしまう、横になっていると、地中に落ちていく感覚に襲われる、普段できていたことができなくなってしまう、という状況になりました。

    病院に行く際に、その仲のよい友人が「病院に付き添おうか?」と言ってくれましたが、非常に忙しいスケジュールをこなしている友達に悪いと思って「一人で行けるから大丈夫。」とその申し出を断ってしまいましたが、後から考えればやっぱり付き添ってもらえば良かったなあと思いました。

    というのも、一応メモを取りながら先生の話を聞いていたのですが、話を集中して聞くことが難しい私は「もしかしたら何か重要なことを聞き逃したかも」と帰宅してから不安になったからです。そして自分のメモの字がとても汚くて、読めない文字もあったからです…(>_<)

    また、このホームページの中で「もし心療内科や精神科を受診される場合には、勇気を出してご自分がエホバの証人であったことを、お医者様におっしゃってください」と書いていたのに(こちらのページです)、自分は宗教名を言えなかったのです。しばらく経ってから、実際に受診をされる方の気持ちにまだまだ理解が足りなかったと自己嫌悪に陥りました。

    あえて言わなかったのか、それとも言えなかったのか自分でも分かりません。でももし今後また受診することがあれば、その時には言おうと思います。

    なぜものみの塔脱会後17年経過してからひどく落ち込んだのか

    ものみの塔を脱会してから17年も経っているのに、今年どうしてここまで落ち込んだのか、考えてみました。

    子ども時代を思い出す作業をして、過去の記憶がよみがえってきたため…過去記事「ずっと死のうと思ってた」と「なぜ私の母はものみの塔に入信し、その結果私のような子どもができあがってしまったのか」(下記参照)の記事を書くにあたり、ものみの塔関連の本などを読んだり、一生懸命過去を思い出そうとしたり、妹に事実確認をしたりしていくうちに、封印していた過去の記憶がよみがえってきて、苦しみ始めました。記事を書いてからしばらくは「すっきりした!」と思っていましたが、あとからじわじわときました。

    ものみの塔によって精神を病む人たちが多いことを知るようになり、「なぜもっと早く行動をしなかったのか」と自分を責め始めたため…私は子どもの頃、虐待を受ける子どもたちを目の当たりにしていても、通報をしませんでした。
    「警察の電話番号が110であることは知っていたはずなのに、なぜ通報しなかったのか」と当時の自分を責め、また「エホバの証人の子どもたちを助けたい」とぼんやりと思い始めてから実際にホームページを作成するという行動に移すまでに20数年を費やしてしまったことに、「あまりにも行動が遅すぎる」と、今の自分を責めるようになっていました。

    私が立ち直ったきっかけとこれからの夢

    ものみの塔によってボロボロにされた心の傷はどこまでも深いものだと改めて感じ、相変わらずの自己肯定感の低さが浮き彫りとなった2017年でしたが、記憶力の悪さは抜群(?)なので、数年後には「まあ、そんなこともあったかなあ」となっているかもしれません(^^;
    ただし学習能力のなさも抜群なので、また落ちているかもしれませんが…。

    今は、ほぼ普段通りの生活ができる位までには回復していますが、今回も私の心の回復に役立ったのはやはり本でした。子どもの頃から、自分の心を奮い立たせる言葉に出合った時、また心を動かす本と出合った時にはノートやメモ帳などに内容を書き記してきたのですが、そのようにしてきて本当に良かったと思いました。
    その時々の状況で心に響く言葉は違いますが、長い年月書き記してきた数々の文章や手元にある本たちは、やはり大きな力となりました。

    また、一旦は非常に落ち込みましたが、これまで人生の仕組みなどについて勉強してきたことや、発達障害について調べていた友人たちのアドバイスが心の回復にとても役立ちました。

    私はすべてのことに意味がある、と信じているので、自分に障がいがあるということは、症状や程度は千差万別とはいえども障がいを持つ他の方々の気持ちも多少なりとも理解できる、それはこれからの人生においてプラスとなると考えています。

    数年前から準備を始め、昨年開業した新たな仕事も結局軌道に乗らず、辞めることにしましたが、この仕事は自分には合わないと分かっただけで勉強になった、この仕事を通じて仕事の先輩方や同期の仲間とのご縁をいただけただけでも良かった、失敗をした分、一歩成功に近づいた、と考えるようにしました。

    そして最近、また新たな夢を持ち始めました。
    今も相変わらず綱渡りの生活をしている状況なので、新たな夢の実現までにはこれからさらに何年かかるか分かりませんが、私の大好きなフレーズの一つである、「If you can dream it, you can do it.」の言葉を胸にコツコツと努力していこうと思います。

    発達障害を理解し生きていくための対処法を学んだサイト

    発達障害についていろんなサイトや本を読みましたが、私にとってはこのサイトのマンガが分かりやすく、ユーモアもあって良かったです。
    また、発達障害を抱えて生きていく上で、生きやすくなるための対処法もこのサイトから学びました。
    作者である精神科医は最近トラブルの報道があったようですが、サイトや本の内容からは私は得るものがあったと思っています。

    単行本も出ています。ただし、どちらも比較的下ネタが多いので、苦手な方はご注意くださいませ。

  • 『エホバの証人二世の論考集 エビのしっぽ』が発売されます

    『エホバの証人二世の論考集 エビのしっぽ』が発売されます

    『エホバの証人の子どもたち』のご著者、秋本弘毅氏が書かれた電子書籍『エホバの証人二世の論考集 エビのしっぽ』が今月25日に発売されるそうです。

    アマゾンにて先行予約受付中です。Kindle Unlimitedの会員の方は無料で読めます。

  • 「よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話」がヤングマガジンサードで新連載開始

    「よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話」がヤングマガジンサードで新連載開始

    すでに話題になっているので、ご存知の方が多いと思いますが、「ヤングマガジンサード Vol.7」(2017年6月6日発売)で元・二世信者いしいさやさんによる自伝漫画「よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話」が一挙2話で新連載が開始されました。


    ヤングマガジン サード 2017年 6/20 号 [雑誌]: ヤングマガジン 増刊

    私も読みましたが、自分が体験してきたことがそのまま再現されているような漫画で、エホバの証人として育てられた暗黒の子ども時代が思い出され、胸が締め付けられる思いでした。

    ものみの塔とは無関係の友人もこの漫画を読み、「漫画なら、より広く一般の人に興味を持ってくれるね。それにタイトルが宗教勧誘の訪問を受けた一般の人の目線になってるのがいいね。」と語ってくれました。

    以下のいしいさやさん(@ishii_saya)のツイッターによると、「二世信者としての幼少期の生活から、大人になって脱会するまでを包み隠さず描く予定」とのことです。

  • エホバの証人の子どもたちが学校で直面する恐怖「いじめ」(第3回)

    エホバの証人の子どもたちが学校で直面する恐怖「いじめ」(第3回)

    いじめを受けているエホバの証人の子どもたちへ

    子どもの権利

    いじめのことで親や長老に相談しても、「エホバを待ちなさい」とか「もっと聖書を読みなさい」「もっと祈りなさい」といった、まるでこちらの努力が足りないかのような返事しか返って来ないかもしれません。
    ひどい場合には「あなたにも悪いところがあるんじゃないの?」などと、さらに子どもを傷つける言葉を言う人もいます。

    でも、すべての子どもには言葉や暴力、無視などによって傷つけられることから守られる権利があります。また、「思想・信条・表現の自由」という権利もあります。

    「ものみの塔の言うことだけが正しいのです。『この世』の人の意見など、聞いてはいけません」と教えられているとしても、もし自分で「何か変だな」「この考えはおかしいな」と感じたら、自分で調べる権利があるのです。自分で考えて行動することは本来は許されているのです。

    子どもの権利については、子どもの権利条約で国際的に定められています。その中で子どもの権利とは以下の図にあるように大きく「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4つあります。(図:unicefより)

    このように、子どもには自由に「考える」「信じる」「意見を言う」「活動する」権利があるのです。ユニセフの子どもの権利条約のサイトにわかりやすい解説がありますので、読んでみて下さい。
    また、図書館や本屋さんに「子どもの権利条約ハンドブック」という本がありますので、良かったら読んでみて下さい。

    祈っても聖書を読んでも解決しなかったら

    もし祈っても聖書を読んでも解決しなかったら、一般社会に助けを求めましょう。

    無理をして集会や奉仕に行く必要はありません。「集会や奉仕に行かないとハルマゲドンで滅ぼされる」と教え込まれていても「本当にそうなのかな?そうやって人を脅かす宗教って正しいのかな?愛のある神は、そんなに心の狭いことを言うのかな?」と考えてみてください。

    「新しい光が出た」と言ってコロコロと教義を変更したり、これまで冷酷な教義やシステムによって多くのエホバの証人を精神疾患に追いやってきたものみの塔に対して疑問を抱くのは、まったく自然なことです。
    ものみの塔は信者であるエホバの証人に対して「識別力を働かせなさい」と指示しています。しかしその指示通りに実際に識別力を働かせてしまったエホバの証人を「背教者」であるとし忌避しているものみの塔。

    この矛盾に気が付いて勇気をふりしぼって組織を離れた方々も多くいます。エホバの証人の親から離れて、心身症が良くなった先輩もいます。(参考:ぼくは親に殺されていたかも知れないー22歳で家出同然で上京した巨椋修(おぐらおさむ)氏
    組織を離れた後、それぞれがご自身の良心に従った生き方をするようになり、ストレスが減り、体調が良くなり、充実した毎日を送れるようになった方々が多くいます。
    [参考]

  • 『ドアの向こうのカルト』の文庫版がでました

    『ドアの向こうのカルト』の文庫版がでました

    「エホバの証人の実態を知るバイブル」(ペレさん)と言われる書籍『ドアの向こうのカルト』の文庫版が出版されました。タイトルは『カルト脱出記: エホバの証人元信者が語る25年間の記録』です。

    単行本である『ドアの向こうのカルト』出版の後日談「文庫版あとがき」を収録した決定版とのことですし、文庫版として価格も安くなっておりますので、まだ読んでおられない方はぜひ読んでみていただければと思います。

    『ドアの向こうのカルト』についての過去の紹介記事

    「ペレさん」「ホットミルクさん」から頂いた紹介文

  • 戦後初の自由学校『きのくに子どもの村学園』

    戦後初の自由学校『きのくに子どもの村学園』

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    和歌山県橋本市の山間にある自由教育の「きのくに子どもの村学園」を最近知り、大変興味深いと思いましたので、ご紹介させていただきます。「きのくに子どもの村学園」のホームページはこちらです。

    「きのくに子どもの村学園」の特徴

    「きのくに子どもの村学園」は、フリースクールではなく文部科学省も認める一条校、つまりれっきとした卒業認定証がもらえる私立の小中学校で、全校生徒のうち4分の3が学校の寮で共同生活をしています。

    「きのくに子どもの村学園」には、子どもの「自己決定」と「個性」、「体験学習」という3つのキーワードがあります。
    時間割に普通の教科の名前はなく、「プロジェクト」という名の体験学習が大半を占めています。みんな何を学びたいのかを自分で決めるのです。さらに、チャイムも試験も、普通の通信簿もありません。

    小学校は、年齢に関係ない完全縦割り学級で、木工やガーデニングの『工務店』、畑や田んぼの『ファーム』、食の研究の『おもしろ料理店』など、5つの「プロジェクト」から関心のあるものに所属し、それに関連した作業を通じて楽しみながら知識を身につけていきます。
    例えば『おもしろ料理店』は、単に料理を作るだけではありません。レシピに出てくるグラムやccなどの単位のほか、食材の持つ性質や栄養素、さらには麹菌を使うみそ造りなどを通して菌類の性質や役割も学んでいきます。

    「子どもたちにとって、単位計算は単なる記号の計算ではありません。美味しい料理をつくるための必須アイテムなんです。そういう目的があると子どもたちはとても早く覚え、しかも、身になる知識になってゆくんです。」
    『おもしろ料理店』の担任をしている「久美ネエ」こと、清水久美子さんは言った。

    瀬川正仁著『教育の豊かさ 学校のチカラ』より引用

    1週間の授業の中で、14時間がプロジェクトでの「体験学習」です。この中で社会科のような調べものもするし、分数の考え方を学ぶこともあります。6学年一緒のクラス構成だと、学習の進み具合など公立の学校と同じようにはいかないという心配も聞かれないこともないそうですが、小学校6年間学べば、文部科学省の定める小学校で学ぶべきカリキュラムをほとんど習得できるようになっているそうです。

  • 新たな読書のツール「Kindle」(キンドル)について&お勧めの本のご紹介

    新たな読書のツール「Kindle」(キンドル)について&お勧めの本のご紹介

    電子書籍を読む専用端末「Kindle」

    初代の電子書籍Kindle(キンドル)が発売されたのは、2012年。近年その使い勝手がどんどん良くなっているようですが、私も昨年Kindleを購入しました。


    【New】Kindle (16GB) 6インチディスプレイ 電子書籍リーダー ブラック 広告あり

    Kindleは、太陽の下でも難なく読め、ブルーライトも出ていないため、あまり目も疲れません。また、バッテリーも使い方によっては数週間持ち、軽くてかさばらないので持ち運びにとても便利な読書ツールです。

    ただ、表や写真が多い本は紙の本のほうが読みやすいと思うので、私は専門書は紙の本、小説やビジネス書はkindleで読むことが多いです。

    Kindleの良さはいろいろありますが、文字の大きさを自由に変えられること、分からない言葉が出てきたら辞書機能を使ってすぐに調べられること、メモをしたり、調べたことを保存しておけることなどが特に良いと感じました。また、読みたい本があった時に、本屋に行く時間がなくても購入することができますし、ネットで注文してから届くまでの待ち時間も発生せずに、ダウンロードしてすぐに読み始めることができます。

    Kindle無料アプリの紹介

    kindle端末を購入しなくても、お持ちのスマートフォンやタブレット端末に無料のKindleアプリをインストールすれば、Kindle版が出ている本を読むことができます。

    Kindle端末の種類と違い

    Kindle端末と呼ばれているものには、おおまかに分けると、Kindle と Kindle Paperwhite と Kindle Fire といった種類があります。それぞれどう違うのか、どれがいいのかという疑問があるかと思います。

    簡単に言うと、Kindle と Kindle Paperwhite は電子インクという仕組みで表示をし、Kindle Fire はスマホやタブレットと同じ液晶による表示です。

    そのため、Kindle Fireはカラー表示で、ネット閲覧やカメラ撮影もでき機能が豊富です。ただし、スマホやタブレットと一緒で晴天の屋外では画面が見にくいのと、電池の持ちが悪いというデメリットがあります。
    一方、Kindle と Kindle Paperwhite は紙の印刷物を読んでいる感覚のため、晴天の屋外でも見やすく休日の公園やビーチで読書するのに適しています。また、前章でも触れた通り、軽くて電池の持ちがよいです。

    では、Kindle と Kindle Paperwhite の違いはどうなのでしょう?
    その違いは、いくつかありますが、内蔵ライトの有無が大きいです。内蔵ライトはKindleには無く、Kindle Paperwhiteには付いています。
    内蔵ライトがあると暗い部屋でも見ることができるので、寝室で電気を消して読書して、眠くなったらそのまま眠るといった使い方ができます。

    詳細なKindle端末の種類とスペックの違いはアマゾンのKindle販売ページに記載があります。
    Kindle端末一覧

    最近Kindleで読んだ本

    さてさて、最近Kindleで読んだ本で特に良かった本をご紹介します。

    ブラジルを旅したこと 松葉レイ


    ブラジルを旅したこと

    レイさんが一人でブラジルを50日間旅行したことをまとめた、旅紀行エッセイです。

    ブラジルの魅力や、そこで暮らす人々の普段の生活を垣間見ることができ、まるでレイさんと一緒にブラジルを旅しているような気分にさせてくれました。

    何か大きな事件が起きるわけではなく、ごく普通の女の子が旅をしたエッセイですが、旅が好きな私には、共感できるところが多かったです。
    特に、1億2千万年前にはすでに存在していたというイグアスの滝に行ってみたくなりました。イグアスの滝は、時間帯や気候によってさまざま姿を見せてくれるそうで、レイさんの表現力と相まって、その壮大な情景が目に浮かびました。

    旅情を誘う本だと思います。

    人を動かす D・カーネギー

    ある実業家の方が、「『人を動かす』を7回読むと、大学に3回入ったくらい、役に立つと私は思います。お金も一冊の本代だけ。こんなにおトクな勉強法はありません。私はいままでに、何千冊と本を読んできました。でも、『人を動かす』以上にいい本って、ありませんでした。この本は、すべてのことの『基本』なんです。」と述べていました。

    私もかなり前にこちらの本の新装版を読んで感銘を受けましたが、とにかく分厚くて重くて、持ち運びには不便でしたので、一度読んだきりになってしまっておりました。

    しかし最近、キンドル版と文庫版の両方を購入し、改めて読み返したところ、知識としては知っていても実践できていなかったことが多々あったと気付かされました。自分にとって役に立つと思った本は、読み込んで実践してこそ、意義があると感じております。

    (以下、2017年10月14日追記)
    齋藤孝著『語彙力こそが教養である』の本の中で、電子書籍について次にように述べられていました。

    最近、「老眼が進んできて、本を読むのがつらい」「年を取ってから活字が嫌いになった」という方が増えているようです。(中略)
    そんな方には、タブレット端末。iPadや Kindleなどを用いて、電子書籍を読むことをおすすめします。
    電子書籍には抵抗があるという方もまだ根強くいらっしゃいますが、なによりも簡単に文字サイズを変えられるのが、紙の本では再現不可能な大きなメリット。一度老眼がつらくて読書をやめてしまったけれど、やっぱり本を読みたい。そう思って電子書籍に手を出したら手放せなくなった、という方を何人も知っています。(中略)
    視力の合わない方が紙の本を読むとしたら眼鏡をかけならればならないし、ピントを合わせようとめいっぱい手を伸ばして本を身体から離す姿はちょっと人目が気になる。
    そんな悩みも、電子書籍であれば一気に解決できます。足が痛くて外に出るのが億劫なときにも、読みたいと思った本をその場で購入できるのも、電子書籍のメリット。(以下略)

    齋藤氏は、いよいよ目が霞んできたという年代の方にもっと普及活動をしなければ、と思っているそうですが、たしかに電子書籍はそういった方々にとっても、とても良い読書ツールだと思います。

  • 多角的に見るために…毎日更新ブロガー・かさこさんの記事より

    多角的に見るために…毎日更新ブロガー・かさこさんの記事より

    カメライター(カメラマン&ライター)でもあり、月間約30万PVのブログを運営している人気ブロガーでもある、かさこさん。

    彼が毎日更新しているブログ『ブロガーかさこの好きを仕事にするセルフブランディング術』は過激な表現も出てくるため、好みは分かれるかもしれませんが、私は愛読させていただいております。(かさこさんはJWとは無関係の方です)

    今回、かさこさんの「目の前のことしか見れず視野が狭くて突っ込んで失敗する人は写真をやりなさい」という記事は特に心に響きましたので、こちらでもご紹介させていただきます。(毒舌な文章が苦手な方はクリックせず、スルーしてください)

    http://kasakoblog.exblog.jp/24219989/

    私は今のところ写真の趣味はありませんが、多少なりとも物事を多角的に見るために役立ってきたのは読書でした。

    子ども時代、読書が大好きだった私は、家族が寝静まった深夜に、父の所蔵していたビジネス書や歴史本を読んだり、学校の休み時間や帰り道に心理学や社会情勢の本などを読んでいました。

    そして様々な本を通して外の世界を知るようになり、ものみの塔組織に対して不信感を持つようになりました。
    そのため、ものみの塔の信者=「エホバの証人」にはなりたいとは思えず、最後までバプテスマは受けませんでした。
    しかし、ものみの塔組織そのものを多角的にじっくりと見ることはなかったので、エホバの証人のコミュニティを離れる際にも、ハルマゲドンの恐怖に怯えており、「この組織がおかしいと感じる、自分のほうがおかしいのではないか?」と複雑な心境のままだったのです。

    ものみの塔組織に限らず、どのような組織や物事を見る際にも、多角的な視点は必要だと思います。そのために、いろいろな書物・情報に触れて、試行錯誤しながら自分にあう多角的な視点を持つための方法を見つけることが大事だと感じています。
    今回ご紹介した「写真」「読書」という切り口が、多角的な視点を持つひとつのヒントになれば幸いです。

  • 元JW2世の手記『解毒』を読んで

    元JW2世の手記『解毒』を読んで

    2016年1月23日に角川書店より、元エホバの証人2世の女性、坂根真実さんの手記『解毒』が出版されました。

    坂根さんのお母様とお姉様が今も現役の信者さんでいらっしゃる状況の中、実名・顔出しで本を出版されるというのは大変な勇気が必要だったことと思います。

    こちらの本で、物心つく前に親の意向でエホバの証人に入信させられた「二世信者」の苦悩や、ご自身の壮絶な体験も隠すことなく書き綴ってくださったこと、DV、2度の離婚、家族との断絶といったどん底の体験をして、アイデンティティを確立していく過程を記してくださったことに感謝申し上げたいと思います。

    私は、生まれた時からエホバの証人のコミュニティにいたこと、洗脳されてしまった親からの虐待を受けても、親の愛を求め続けていたこと、エホバの証人を辞めたいと思いながらも、母を悲しませたくないという想いも持ち続けていて辞めることができなかったこと、自殺しようとしたこと…。『解毒』を読んで、坂根さんとの多くの共通点を見い出しました。

    1985年6月6日に起きた「大ちゃん事件」(詳しくはこちらをご覧ください http://www.jwstudy.com/ja/blood_suzuki_dai/)をきっかけに、日本でもものみの塔の教理と洗脳の恐ろしさが広く知れ渡ることとなりました。それでも今でも入信し、精神を病んでいき、家庭崩壊、自死にまで至る事例は数多くあります。

    何度もハルマゲドンの予言を外し、それに対する謝罪もせず、責任も取らずに悪びれることもなく予言を繰り返し、「間もなく世界の70億人の人類は、ほとんどの人がハルマゲドンで滅ぼされ、たった数百万人のエホバの証人だけが世の終わりを生き残る」などということを説く組織を信じ切る人たち。組織の闇に気が付いても組織を抜け出さない人たち。
    周りの人たちからしたら、このような人たちが数多くいるというのは不思議なことに思えるかもしれませんが、組織による巧妙な策略によってそれが成功してきたことが分かります。

    また、エホバの証人の子どもたちは親と組織に絶対服従の生活を強いられているのですが、その理由を私は今まで友人たちにうまく説明することができませんでした。しかしこの本の帯に記された、次の的確な表現を見たとき、はっとしました。

    ハルマゲドンの教義は、大人たちにとっては入信を急ぐきっかけとなり、子どもたちにとっては、神への恐怖を植え付けられる洗脳となる。エホバの証人の信者になった親は、エホバから子育てを委ねられた立場となるので、子どもたちが親に逆らうことは、エホバという神に逆らうことになる。
    子どもたちは、ハルマゲドンで神から殺戮されることを恐れ、親や組織の命令に服従するようになる。

    そのような状況だからこそ、子どもたちへの虐待を疑問視する信者もほとんどおらず、常軌を逸した身体的、心理的虐待が長年に渡って行われてきたのだと思います。

    アメリカの大学では「エホバの証人とモルモン教はカルトである」と教えていることを今回『解毒』を読んで初めて知りましたが、日本でも、もっと早い教育段階でカルトの特徴を教えてくれる機会があれば、被害者も減らせるのではないかと感じました。
    というのも、エホバの証人の組織のトップが、信者たちの洗脳が解けないよう、高等教育を悪であるとして受けさせないようにしているからです。

    アメリカの本部や世界各国の支部には、高学歴のエリートを配置して中枢の仕事を任せていますが、大多数の親世代の信者には「子どもに高等教育を受けさせないように」と圧力をかけ、若い信者には「高校卒業後の進路として、大学進学を考えてはいけない。大学にはサタンの罠がたくさんある」と圧力をかけているのです。
    そして多くの若い信者がそれに従って大学進学の道を選ばなかったり、信者である家族によって半強制的に進学の道を絶たれたりしています。
    実際、私も子どもの頃、周りの信者たちから大学には進学させずに開拓者にさせようとする圧力を受けました。
    私がいた地域では大学に進学しない選択をした人たちが褒め称えられていました。(ただ、この教理に対する認識も国内でも地域差がかなりあるようで、大学に進学しても信者たちから蔑視されない地域もあるようです。)

    このような現状から、大学でカルトについて教えてくれても、すでにカルトの信者になってしまっている人たちにはそれを知るところまでたどり着きません。義務教育で例えカルトの特徴を教えることが難しくても、物事の本質を見極める力が付くような機会がもっと与えられたらと願います。

    また、ものみの塔独自の自然の理に反した「性教育」の実態や、その「性教育」の結果、世界各地に多数のエホバの証人の性犯罪者を誕生させてしまっていることや、組織内では女性蔑視の教理が深く浸透しており組織構造や規則、信者たちの言動に反映されていること、そして、エホバの証人の裁判制度と忌避制度などが分かりやすく記述されていました。エホバの証人ではない方々にもこの教団がどのようなものなのか、ご理解いただけるかと思います。

    この本は、エホバの証人が親族や知り合いにいらっしゃる方には、エホバの証人の思考を知ることができる良書であると思います。
    また、壮絶な体験を経て、無償の愛に気付き、大きく羽ばたかれていかれる坂根さんの、淡い恋や青春の思い出なども盛り込まれた半生を綴ったノンフィクションとしても味わい深いものでした。「無償の愛」をテーマとしたこちらの本は、宗教の枠を超えた話として、多くの方の心に響くものであることと思います。

    最後に、『解毒』で私が一番共感した言葉をご紹介させてください。

    他人と過去は変えられない。変えられるのは自分だけだ。親や社会を憎んでも、自分の人格が歪むだけである。私はこれからも現実と向き合って自分を変えていく。そして、人生を存分に味わっていきたい。

  • 元JW2世の女性の手記 『解毒』が出版されます

    元JW2世の女性の手記 『解毒』が出版されます

    2016年1月23日に、株式会社KADOKAWAより、元エホバの証人2世の女性、坂根真実さんの手記『解毒』が出版されます。

    予約注文可能です。

    また、坂根真実さんのブログ「モカに会えなくても、私は元気」はこちらです。
    http://ameblo.jp/ynm0617/

    ご家族が現役の信者であるにも関わらず、ご本名で手記を出版されることは大変な勇気が必要だったことと思います。
    坂根真実さんの勇気と行動力に感謝いたします。

    本が発売されましたら、改めて感想などこちらでご紹介したいと思います。

  • 「カルトからの回復 (カルト問題のフロンティア2)」(心のレジリアンス)櫻井 義秀

    「カルトからの回復 (カルト問題のフロンティア2)」(心のレジリアンス)櫻井 義秀

    宗教社会学・比較社会学を専門とする大学教員である櫻井義秀氏が編集された本です。

    本書は二部構成になっており、第一部では回復のプロセス、レジリアンスとはどのようなものか、またレジリアンスはどのように活性化されるのかを理論的に、そして心理臨床の事例に即して考察した論考が収められています。

    第二部は、カルト・カウンセリングの事例の紹介と議論です。回復支援のためにどのようなサポートが必要なのかを、ベテラン・カウンセラー6名が長年の経験に基づいて知見を語っています。
    また、元信者の方々のカルトの経験、回復の経験が載せられています。

    全体的に統一教会の内容がメインとなっていますが、これからエホバの証人を辞めたいと思っている方や辞められた方、また信者さんのご家族にとっても、大変役に立つと思います。